DX人材に必要なスキルと人材確保の方法|DXで人気の資格も紹介

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したいものの、人材不足によって足踏み状態にある企業は少なくないでしょう。ここでは、DX人材とはどのような人材のことをいうのか、定義をはじめ、DX人材に求められるスキルやマインドセット、役立つ資格について説明します。

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DX人材とは

まずはDX人材とはどのような人材を指すのか、定義を見ていきます。また、DX人材が不足している現状とその理由についても理解を深めておきましょう。

経済産業省の定義

経済産業省が公表している「DX推進ガイドライン」によると、DXは以下のように定義されています。

『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも

のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。』

経済産業省|「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

また、DX人材については2020年12月に公表した「DXレポート2」の中で、以下のように述べられています。

『自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材』

経済産業省|「DXレポート2」

DXは単なるデジタル化の推進ではなく、ビジネスモデルや組織の変革による企業価値の創出・向上が本質です。これを踏まえると、DX人材には単なる業務効率化の視点を超えた、変革をリード・実行するためのスキルとマインドが求められるといえます。

DX人材不足が深刻化している現状

経済産業省が公表している「DXレポート」によると、2015年時点でのIT人材不足は約17万人、2025年には約43万人まで拡大すると警鐘を鳴らしています。くわえて、DX人材の育成・確保における対策として、「既存システムの維持・保守からDX分野に人材シフトする」「アジャイル開発による事業部門人材のIT人材化」「スキル標準・講座認定制度による人材育成」といった具体策も示しています。

しかし、DXの重要性への認識が広がる一方で、DX人材の育成・確保に難航している企業が少なくないというのが現状です。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構が行った「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」によると、DX人材が「大いに不足」と回答した企業がもっとも多いという結果でした。なかでも、DX推進の中核的な役割を担うプロデューサー、ビジネスデザイナー、データサイエンティスト/AIエンジニアといった役割においては、半数以上の企業が「大いに不足」と回答しています。

いかにしてDX人材を育成・確保するかがDX成功の鍵を握ることは、もはや自明といえるのです。

DXを具現化する6つの職種と必要なスキル

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構では、DX人材の種類として次の6つの職種をあげています。具体的な役割と求められるスキルについて見ていきましょう。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構|IT人材白書2020

プロダクトマネージャー

DXのプロジェクト全体に通じ、社内外のステークホルダーと良好な関係を築きながらDX化を主導するリーダー人材です。DX実現に向けた熱量と行動力が求められるポジションであり、意志決定の裁量を持ち、DX化を完遂できるようリーダーとして活動していきます。

必要なスキルは、以下のように整理できます。

  • 戦略設計とプロセス構築のスキル

自社を取り巻く環境や業界トレンドを理解した上でビジョンを設定し、戦略に落とし込む能力が必要です。また、DX化のプロセスを構築し、意思決定を行いながら予算・納期・品質を管理するスキルも求められます。

  • 社内外の調整スキル

社内外の人材を巻き込み、うまく動かしながらDX成功に向けて組織をマネジメントする能力が求められます。

  • 先端技術やトレンドに関する知見

IT分野の先端技術やトレンドへの知見を持ち、的確かつ迅速な意思決定を行うスキルが必要です。

ビジネスデザイナー

顧客や市場ニーズの把握といったマーケティングを前提に、DXのビジネスデザインを企画・立案および推進する人材です。ビジネスモデルを構築するための事業視点と、デジタル技術の両面に知見がある人材が望ましいといえます。

求められるスキルには、次のようなものがあります。

  • 構想力・企画力

顧客や市場の動きやニーズを読み解きながら、ビジネスアイデアを具現化する構想力・企画力が必要です。

  • ファシリテーションスキル

様々なステークホルダーの合意形成を行いながら、DX実現に向けて推進していくスキルが求められます。

アーキテクト

DX化のビジネスデザインを具現化するためのシステム設計を担う人材です。ビジネス上の課題を的確に把握した上で、ソリューションとなる仕様の提案から要件定義まで責任を持ちます。

必要なスキルは次の通りです。

  • アーキテクチャ設計のスキル

ビジネスデザインを技術的に具現化するスキルが求められます。ソフトウェアの性能設計やシステムの効率化、組織の業務手順の適正化といったことを実現する能力が必要です。

データサイエンティスト/AIエンジニア

ビッグデータを解析・分析する技術を持ち、ビジネスにどう活かしていくかを構想する役割を担います。そのため、ビジネスにも精通していることが必要です。また、ビッグデータを用いる先端技術としてAI(人工知能)がありますが、これを有効活用する上ではAIの機械学習に関する知見も求められます。

次のようなスキルが必要です。

  • データサイエンス力

統計学・人工知能・情報処理・分析手法に関する知見を持ち、膨大なデータを意味のあるものとして活用できるようにするスキルが求められます。

  • ビジネス力

ビジネス上の課題やその背景を理解し、データ面から事業課題を解決する能力が必要です。

UI/UXデザイナー

DXにおけるシステム化に際し、ユーザー視点での利便性・快適性の向上を担う人材です。ビジネスモデルを変革しても、ユーザーにとって使い勝手が悪ければDXは成功しません。UI/UXデザイナーは、ユーザーインターフェースの快適性や顧客体験の向上を通してDXを軌道に乗せる役割を担います。

以下のようなスキルが求められます。

  • マーケティングスキル

ユーザーの行動・心理を把握するマーケティングスキルが必要です。

  • デザイン力

ユーザーの立場にたった使いやすさやわかりやすさ、利用価値を反映するデザイン力が求められます。

プログラマー/エンジニア

インフラの構築やシステムの実装、保守を担う人材です。アーキテクトが設計したものが意図した通りに動くようにプログラミングし、コーディング・テスト・デバッグといった作業をします。

必要なスキルとして次のものがあります。

  • プロジェクト管理能力

納期に合わせて進行できるよう、調整・管理するスキルが求められます。

  • プログラミング言語の知識

汎用的に使われている言語の知識を有していること、また用途に応じて必要なプログラミング言語の知識が求められます。

DX人材に必要な4つのマインドセット

DXを成功させるには技術的なスキルだけでなく、高い意識で推進していくマインドが重要になります。DX人材に求められる4つのマインドセットを見ていきましょう。

課題を発見する

DXの第一歩は、自社や業界の課題を把握し、どういった方向性でそれを解決するのか道筋をつけることです。現状に満足せずに、顧客にとっての有益性や価値を見つめ直し、現状における課題を発見する姿勢が必要です。顧客や市場の動きを把握するとともに、先々に起こり得る変化にも着目することがポイントです。

挑戦する

DXの実現は、これまでのやり方を変えるということです。従来のやり方に固執せず、また失敗を恐れない姿勢で臨むことが求められます。ただし、こうした挑戦意欲の醸成には、企業の風土文化や人事評価などが大きく影響するケースが少なくありません。マインドセットを阻害する組織的な要因がある場合は、対策を検討する必要があります。

周囲を巻き込む

DXを推進するには、社内外の様々なステークホルダーと連携・協力することが必要です。一人で抱え込まずに、周囲の多様な考え方を取り入れながら巻き込んでいく意識が求められます。

探求を続ける

DXへの取り組みは試行錯誤の連続であり、強い意志を持って続けることが必要になります。また、変化が目まぐるしい市場においては、その時点で導き出した最適解が1年後も同じとは限りません。常に「これでいいのか」という疑問を持ち、「もっと良い方法はないか」と探求を続けることで、新たな道が拓けるものと心得ておくのが望ましい姿勢です。

DX人材を確保する方法

DX人材を確保する方法には、社内での育成と外部人材活用の2パターンがあります。メリット・デメリットを含め、具体的に見ていきましょう。

社内での育成・確保

社内でDX人材を育成または新たに採用するという方法です。とくに、自社事業への理解の深さが求められるプロダクトマネージャーやビジネスデザイナーは、可能な限り社員に任せたいという企業が多くなっています。

社内で人材を育成・確保するメリット・デメリットは、次のように整理できます。

メリット ・    自社の実態に即したデジタル化を図りやすい

・    システムの一貫性を保ちやすい

・    自社にノウハウ・スキルが蓄積される

デメリット ・    DX人材を採用するのが難しい

・    育成が難しい(スキル面・コスト面・時間面)

 

メリットは大きいものの、社内での育成・採用は難しいというのが現実といえるでしょう。社内でDX人材を育成・確保する際のポイントには、次のことが挙げられます。

  • 対象者の選定

DX人材に求められるスキル・マインドセットを考慮して、対象とする人材を選定します。DXは片手間でできるものではないため、専任者として登用・配属する形が望ましいといえます。また、多様な知見が求められるため、あらゆる部署から選定することを視野に入れましょう。

  • 適切な人事評価を再検討

DXの取り組みはすぐに成果が表れるものではなく、試行錯誤の連続となります。成果主義の人事評価を取り入れている場合は、評価基準を再検討することが必要です。また、失敗を恐れずに挑戦できるよう、モチベーションを維持するための仕組みを人事面からも考えることが重要になります。

  • 学習できる環境の整備

研修やeラーニングといった学習機会の提供や資格取得の支援を積極的に行い、できるだけ短期間でスキル習得できる環境を整備します。OJTで学ぶ機会を提供することも必要です。

  • アジャイル開発

アジャイル開発は、機能単位での実装・テストを繰り返しながらスピーディに開発する手法のことをいいます。従来の「全体計画→要件定義→実装」という開発方法に比べて、短期間で作れるというメリットがあります。

DXはトライ&エラーが前提であり、機能向上や軌道修正を頻繁に行うことが想定されるため、仕様変更に柔軟に対応できるアジャイル開発が適しています。また、小さな成功体験の積み重ねができるため、DX人材のモチベーション維持にも役立ちます。

外部人材の活用

もう一つの方法が外部人材の活用です。とくに、UI/UXデザイナー、SE/プログラマーは外部に委託するケースが目立ちます。社内人材を活用する場合と比較したメリット・デメリットは、以下のようになります。

 

メリット ・    自社にないスキル・リソースを即確保できる

・    高度なスキルや豊富な経験を有するDX人材を確保できる

・    採用コスト・教育コストがかからない

デメリット ・    委託費用がかかる

・    自社にスキル・ノウハウを蓄積するには工夫が必要

現在は、DXに必要な高度なスキルを有する人材を紹介するサービスや、マッチングするプラットフォームが多数提供されているので、利用しやすい環境になっているといえるでしょう。

DX推進に役立つ資格

DXを推進する上で役立つ資格を紹介しましょう。人材を見極める際にも役立ちます。

AWS(Amazon Web Services)認定資格

AWS認定資格とは、Amazonが提供するクラウドサービス上で、オペレーションやアプリ開発を行える知識・技術を認定するものです。レベル別・ジャンル別など各種の認定資格があります。AWS認定資格を持っていると、クラウドサービスの専門的知識・技術を有しているとして認められるため、定番人気の資格となっています。

AWS認定資格

ITストラテジスト試験

IPAが実施している高度情報処理技術者試験の一つで、国家資格です。経営戦略とIT戦略を結ぶ役割を果たすITストラテジストを認定するもので、DXではとくに人気があります。経営戦略に関する知識、高度なIT戦略の知識、プロジェクトマネジメント能力が問われます。

ITストラテジスト試験

ITコーディネータ

経済産業省が推奨していることで注目を集めている資格です。経営とITに精通し、DX戦略を実現する専門家という位置づけになります。IT経営に関する総論とプロセス、プロジェクトマネジメント力などが問われます。

ITコーディネータ協会(ITCA)

データスペシャリスト試験

DXに欠かせないデータスペシャリストを認定する高度情報処理技術者試験の一つで、国家資格です。データサイエンティストを目指すなら、取得しておきたい資格です。データに関する基礎知識からプロジェクトマネジメント、セキュリティなど幅広い知識が必要になります。

データスペシャリスト試験

Python3エンジニア認定試験

AIの分野で多く使われている言語がPython(パイソン)で、DXにおいても役立つ資格です。認定試験は一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施しており、Pythonの基礎知識と技術を認定します。基礎を一通り学んでいれば、それほど難易度は高くないといえるでしょう。

一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会

認定スクラムマスター(CSM®)

スクラム開発はアジャイル開発の手法の一つで、メンバーがフラットにタスクへの責任を持って進める方法をいいます。スクラムマスターは、スクラム開発においてチームメンバーが方向性を見失うことなく、スムーズに仕事ができるようサポートする役割を担います。

認定スクラムマスターは『Scrum Alliance』が認定しており、資格を取得するには研修に参加してから試験を受ける必要があります。

認定スクラムマスター(CSM®)

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『DXの窓口』は、DXの課題を統合的に解決する実行支援型コンサルティングサービスです。日本最大級のDX事例を紹介するDX事例プラットフォーム『シーラベル』が提供しています。

サービス内容は以下となります。

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